『グノーシス~古代キリスト教の異端思想』(筒井賢治著,講談社選書メチエ) より引用 にもかかわらず、正統多数派教会は、正典の内容的な統一性には目をつぶり、ひいては教義の一貫性を犠牲にしてまでも、伝統にしたがって現行の二七文書をそっくり飲み込んだ。マルキオンは、福音の純粋性にこだわって伝承を選別し、なおかつテキストのレベルでも取捨選択をおこなった。それによってマルキオン聖書が成立し、マルキオン派教会が立ち上がった。しかし、この運動は長続きせず、西方ではおそらく五〇年程度しかもたなかった。他の二世紀のキリスト教流派、ウァレンティノス派やバシレイデ―ス派も、規範的な文書集…
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『マルクス主義の正体 人類を破滅させる妄想体系』ミーゼス 伝説的講義と、秀逸な解説
世界が今どうしてこれほど混乱し分断が進んでいるのか。何故テレビは堂々と嘘をつくのか。 日本では見当違いな陰謀論が流布されており、存在しない敵、あるいは正反対の味方を憎悪するよう誘…
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『権利のための闘争』 冒頭メモ
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