帯の紹介文、
「顧問弁護士と監査役の立場から父親を糾弾する息子の葛藤とは?」
とのことだったので、実の息子が父親の不正を暴く葛藤のドラマを期待して読んだ。が、想像していた内容ではなかった。
ギリシア悲劇さながらの展開に登場人物たちが鬱々と悩んで独白するあたり、もしかしたら純文学に近いものを目指されたのかもしれない。一般受けしないだろうなと思った。
まあ「殺人事件の犯人捜してメデタシメデタシ」しか能のない馬鹿なミステリ小説よりは遥かにマシ。法律モノと言えばミステリという時代が去ってくれて良かった。出来れば巨大な不正に挑むドラマが読みたかったけど、プロの弁護士さんが描いたものとしてリアルが感じられ良かった。
弁護士の呟きには色々考えさせられたし、論語が出てくるあたり本当に堪能した。
法学部の学生が読むと面白いかもしれないな。(逆に言うと法学部卒でなければ面白くもなんともないだろうなと思う。楽天レビュー「ここまで面白くないと思った小説は僕が読んだ中では過去を振り返っても皆無です。」に、それもそうだろうと笑った)
2010年10月27日筆 2017年10月14日追記
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
顧問弁護士と監査役の立場から父親を糾弾する息子の葛藤とは?樋山は不動産会社を創業し、年商1500億円の上場企業にまで成長させたオーナー社長だ。ある日、監査法人からトンネル会社の不正を指摘され、社内に激震が走る…。国際弁護士作家の書き下ろし傑作・企業法律小説。