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元旦に、コンビニで見かけた『危険な読書』という雑誌。
まずこの黒背景、黒い本に白文字の明朝で一文、“危険な読書” との縦タイトルに惹かれ手に取ってしまった。
(これは本好きなら手に取らざるを得ない表紙。この表紙デザインから素晴らしい)

中を開くと目に飛び込んできた文に打たれ、しばし立ち尽くした。



リード文、と言うのか? 特集記事を紹介するための文に痺れたのだった。

引用する。
当たり前と思われていた価値観が世界中で次々と崩れ去るいま、もはや流行りの本をいち早く読んだとか、これまで読んだ本の数を指折っていてもつまらないじゃないですか。たとえ一冊であっても深く心に突き刺さるような、常識がひっくり返るような読書こそを愉しみたいのです。

……泣くかも、と思った。

激しく同感だ。
特に太字の箇所は前々から私も主張していて、そのたびバカにされ嫌われてきた。

流行りの本をいち早く読んだとか、これまで読んだ本の数を指折って
いる人ばかりなんだよ、本当に。
自分を飾るために見せかけの読書歴を誇る人ばかりで、実はどこにも本好きなど存在しないのではないかと私は思っていた。

読書は量ではなく質だし、流行を追いかけることではないし、まして自分を飾るためにステイタスとして行うものではない
この言葉が通じる人が、この世界のどこかに存在するのだろうか。
半ば信じられなくなっていた。

最近はネット上でたまに真性の読書好きを見かけるようになったし、芸人でもたとえばオードリー若林氏など「本気で読書マニアなんだな」と思える人を見かけて少しずつ孤独が癒されてはいた。
でも今日、決定的に孤独ではないと分かって嬉しい。

心ある読書人はきっと皆、思っている。
流行を追うことや、読んだ本の数を競うのは読書ではないと。
自分たちは好きだから読み漁り、そのうち抜け出せなくなるような「毒」となる読書をして、どうしようもなく深みにはまっているだけ。

誰に誇りたいわけでもない。
「読書をしている自分、知的でカッコイイ」と訴えたいと思ったことはない。むしろ読書にはまって抜け出せなくなっている自分が、恥ずかしいと思っている(人もいるはず。私がそう。自己否定するつもりではなくても、不可抗力ではまっているものを他人に暴露するのは恥ずかしい)。
それでもある日、思うのだ。
伝えたい、読書はたまらない体験なのだと。
だから恥を忍び勇気を出して好きな本を公開したりしているんだよ。

「心ある読書人」たちは、あまり自分の想いを言葉にしない。
読書量を競ったり自分を着飾るために本を使い捨て、粗末に扱う人々を見て密かに心を痛めているだけだ。
だから今回、上の文を書いたライターさんには心から感謝したい。
声を上げてくれてありがとう。同じ想いを綴ってくれてありがとう。



文の後半にも共鳴する。
ある学者は言いました。本には“マジカル”がないといけないと。またある詩人は言うのです。自分の中の“怪物”に出会うために本を読むのだと。読者諸兄姉! 本のチカラを侮ってはイケナイ。「危険な読書」とは、世の中にはまだこんな本があったのか! という発見と共に、読了後にはこの世界の見え方すら変わってしまう、へたすると人生すら変えちゃうかもしれない、そんな本に出会うための危険な指南書であります。
同意。
 そう言えば私も先日、似たようなことをプライベートブログで書いたっけ。
「読書は毒にもなる。モテるために読書する人たちがイメージするような、カッコイイものではない」と。
たぶん、伝わっていないだろうが。

皆さん本を侮り過ぎ。だから、「モテるために読書家を装う」などという勘違いした人が生まれる。
本はそんなにスマートで安全なものではないですよ。もっと毒々しく泥臭く、影響力のあるもの。


私はこの文を書いたライターさんを応援するため上の雑誌を買ってしまったのだが、 そもそも他人に奨められたものだけ読むというのも私は違うと思う。
始めのうちはお奨め本リストを道案内に使ってもいい。(そのために私もお奨め本リストを書いている)
でもいずれ自分の嗅覚で、自分に合った本を模索していくということが大事。そうしなければ「毒となる」読書など一生できないはず。

好きな本を、好きなだけ読め。
中毒体験を堪能せよ。
それが「人生を変える」などとは私は言わない。ただ、生きていて良かったと思えるほどのかけがえのない体験となることは確か。


2018年1月筆