一時期ヘミングウェイにはまり、読みふけっていた時期がありました。
年を取ってからまた読みたい作家の一人です。
世界的に有名な小説ばかりですので、一度は読んでみて損はないと思います。
読みやすい順に並べます。
ヘミングウェイの小説で、最も有名なのがこの『老人と海』ではないでしょうか。
老いてなお不屈の精神を持ち続ける海の男。静謐な描写で表現される大魚との戦いは美しさすら感じさせる。男なら誰もが一度は憧れる世界観です。
ヘミングウェイの「強い男」としてのイメージもこの小説によく現れていますね。
短編小説としても完璧です。薄い本なのでヘミングウェイ体験に最適。
映画で観たことがある人のほうが多いのではないでしょうか。
恋愛あり、ゲリラ戦闘あり。現代まで続く伝統的な「THEアメリカ戦争モノ映画」で、通俗感があることは否めませんが、原作は本物の戦争を描いています。
著者自身の戦場体験が織り込まれていると思われ、描写には薄ら物憂い匂いが漂う。
ヒーロー的な通俗小説の装いをしながら、実はティム・オブ・ライエン『本当の戦争の話をしよう』と共通の理由で書かれた小説と思います。
戦争の生々しいトラウマを見ることに拒絶感のある人は、まずこの辺りから本物に触れるといいと思います。
著者の自伝的小説です。
「小説とは・文学とは何か」というと、やはりそれは一個の人間として生きてきた足跡を、命注いで文章に写し取るということではないか? と私は思います。
その命注いで書かれた他人の人生を読者として受け取って、初めて「読書が糧になった」と言えるのではないか。
他人の人生を味わえる唯一のツールが、小説というもの。
本を読むという行為にしても、一生のうちのある一定の時間を割くわけなので、なるべく生きる糧になるものを読んだほうが良いのではと思います。
はっきり言ってヘミングウェイのこの自伝小説には鬱の臭いが強く漂い、引きずり込まれそうになります。それでもこれは貴重な一個の人生として味わう価値があります。
同上。
他人の痛みを感じ取る感性がなければ退屈なだけでしょう。
若い頃に読もうとして挫折した人は、人生の悲哀を味わう年齢以降に読むと理解できるかもしれない。
私が思うに、ヘミングウェイの真骨頂は短編です。
これこそ「本当の戦争の話をしよう」で、鬱病をわずらった著者が、鬱々と思い出語りをします。
このパターンの文学を嫌う人は心底嫌うはずです。
私もさすがにこれは同調し過ぎていよいよ引きずり込まれるな、と感じたので(個人的事情によりその可能性は強い)ここらでヘミングウェイから撤退しました。
しかし危険を感じてしまうほどに本物であることは確かです。
だから、いつか「そろそろ死んでもいいだろう」という年齢になった頃に再び読みたいと思うわけです。
年を取ってからまた読みたい作家の一人です。
世界的に有名な小説ばかりですので、一度は読んでみて損はないと思います。
読みやすい順に並べます。
老人と海
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく…。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。
ヘミングウェイの小説で、最も有名なのがこの『老人と海』ではないでしょうか。
老いてなお不屈の精神を持ち続ける海の男。静謐な描写で表現される大魚との戦いは美しさすら感じさせる。男なら誰もが一度は憧れる世界観です。
ヘミングウェイの「強い男」としてのイメージもこの小説によく現れていますね。
短編小説としても完璧です。薄い本なのでヘミングウェイ体験に最適。
誰がために鐘は鳴る
全ヨーロッパをおおわんとするファシズムの暗雲に対し、一点の希望を投げかけたスペイン内戦。1936年に始まったこの戦争を舞台に、限られた生命の中で激しく燃えあがるアメリカ青年とスペイン娘との恋を、ダイナミックな文体で描く代表作。義勇兵として人民政府軍に参加したロバートは、鉄橋爆破の密命を受けてゲリラ隊に合流し、そこで両親をファシストに殺されたマリアと出会う。
映画で観たことがある人のほうが多いのではないでしょうか。
恋愛あり、ゲリラ戦闘あり。現代まで続く伝統的な「THEアメリカ戦争モノ映画」で、通俗感があることは否めませんが、原作は本物の戦争を描いています。
著者自身の戦場体験が織り込まれていると思われ、描写には薄ら物憂い匂いが漂う。
ヒーロー的な通俗小説の装いをしながら、実はティム・オブ・ライエン『本当の戦争の話をしよう』と共通の理由で書かれた小説と思います。
戦争の生々しいトラウマを見ることに拒絶感のある人は、まずこの辺りから本物に触れるといいと思います。
武器よさらば
苛烈な第一次世界大戦。イタリア軍に身を投じたアメリカ人青年フレドリックは、砲撃で重傷を負う。病院で彼と再会したのは、婚約者を失ったイギリス人看護師キャサリン。芽生えた恋は急速に熱を帯びる。だが、戦況は悪化の一途を辿り、フレドリックは脱走。ミラノで首尾よくキャサリンを見つけ出し、新天地スイスで幸福を掴もうとするが…。現実に翻弄される男女の運命を描く名編。
著者の自伝的小説です。
「小説とは・文学とは何か」というと、やはりそれは一個の人間として生きてきた足跡を、命注いで文章に写し取るということではないか? と私は思います。
その命注いで書かれた他人の人生を読者として受け取って、初めて「読書が糧になった」と言えるのではないか。
他人の人生を味わえる唯一のツールが、小説というもの。
本を読むという行為にしても、一生のうちのある一定の時間を割くわけなので、なるべく生きる糧になるものを読んだほうが良いのではと思います。
はっきり言ってヘミングウェイのこの自伝小説には鬱の臭いが強く漂い、引きずり込まれそうになります。それでもこれは貴重な一個の人生として味わう価値があります。
日はまた昇る
第一次大戦後のパリ、そしてスペイン。理想を失った青年たちは虚無と享楽の生活に明け暮れる。釣り、祭り、闘牛、おしゃべり、明るい南国の光の下でくりひろげられる“失われた世代”の青春の日々。果てしない祝祭の日々は、いかなる結末を迎えるのか。彼はこの原稿を二十六歳の誕生日にスペインのバレンシアで書きはじめた。ハードボイルドタッチで若者の代弁者と喝采を浴びた初期の代表作。
同上。
他人の痛みを感じ取る感性がなければ退屈なだけでしょう。
若い頃に読もうとして挫折した人は、人生の悲哀を味わう年齢以降に読むと理解できるかもしれない。
何を見ても何かを思い出す
炸裂する砲弾、絶望的な突撃。凄惨極まる戦場で、作家の視線が何かを捉えたー1937年、ヘミングウェイはスペイン内戦を取材、死を垣間見たこの体験が、以降の作品群に新たな光芒を与えることになる。「蝶々と戦車」を始めとするスペイン内戦ものに加え、自らの内面を凝視するラヴ・ストーリー「異郷」など、生前未発表の7編を含む全22編。遺族らの手による初の決定版短編全集、完結編。
私が思うに、ヘミングウェイの真骨頂は短編です。
これこそ「本当の戦争の話をしよう」で、鬱病をわずらった著者が、鬱々と思い出語りをします。
このパターンの文学を嫌う人は心底嫌うはずです。
私もさすがにこれは同調し過ぎていよいよ引きずり込まれるな、と感じたので(個人的事情によりその可能性は強い)ここらでヘミングウェイから撤退しました。
しかし危険を感じてしまうほどに本物であることは確かです。
だから、いつか「そろそろ死んでもいいだろう」という年齢になった頃に再び読みたいと思うわけです。